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当サイトでの高級レザーと一般ツヤ革の分類

同じ「本革」と表示されていても、実際には靴によって性質が大きく違います。
履き方や手入れ方法に注意が必要なセンシティブな靴もあれば、多少のことではへこたれない丈夫な靴もあります。値段も50万円をゆうに超えるビスポークの靴もあれば、数千円で購入できるビジネスシューズもあります。
こうした革の性質の違いはどこからくるのでしょうか?
実は、靴の手入れを考える場合、革の性質は「仕上げ」に最も大きく左右されます。「仕上げ」とは革を鞣(なめ)したあと表面に塗装をする工程です。

仕上げ塗膜の厚さによる分類

高級靴と一般通勤靴革の素材である原皮にもグレードがありますが、銀面(革の表面)の状態がよい上質の原皮には、素材の風合いを活かすために薄い仕上げを施し、銀面に難がある場合にはそれをカバーするために仕上げが厚くなるのが一般的です。そして薄い仕上げのものは風合いに優れて感受性が強い革になり、厚い仕上げのものは天然皮革としての風合いでは劣るものの、耐久性が高い丈夫な革になります。
当サイトでは説明の便宜のために、靴に使用されるツヤ革を、仕上げによる塗膜の厚さによって「高級レザー」と「一般ツヤ革」の2つに分類しました。少々大ざっぱに感じられるかもしれませんが、塗膜の薄い革は感受性が高く手入れや取り扱いに注意が必要な「高級レザー」。塗膜の厚い革は丈夫で取り扱いが容易な「一般ツヤ革」という分類です。


2つの分類をもう少し詳しく説明しますと、以下のとおりです。

■高級レザー

高級レザー靴素材の風合いを活かすことを目的にした薄い仕上げの革です。当サイトでは便宜上「高級レザー」と呼びます。
仕上げには、塗膜が非常に薄いアニリン仕上げやセミアニリン仕上げが適用されています。通気性・透湿性に優れているので快適で、見た目も革らしい風合いの活きた美しい革です。
しかし一方で、色落ちがしやすく、光で色があせやすく、傷もつきやすいなど取り扱いに注意が必要です。この仕上げの革の多くはクリームを塗ると中に浸み込みます。手入れに多少知識も必要です。コンディションによる外観の変化が顕著で、知れば知るほど革靴と本格的に付き合う面白さを味わうことができます。

■一般ツヤ革

通勤靴原皮のキメが粗いなどの欠点を補正して付加価値を高め、より丈夫にすることを主目的にした厚い仕上げの革を、当サイトでは便宜上「一般ツヤ革」と呼びます。
塗膜の厚い仕上げには顔料仕上げ・ウレタン塗装仕上げなど多くの仕上げ方法があります。高級レザーに比べると、風合いや通気性などで劣りますが、色落ちや色あせがしにくく、丈夫で取り扱いやすいというメリットがあり、通勤靴などでその特性が活きます。
一般ツヤ革はクリームを塗っても中にほとんど浸透しません。このタイプの靴はコンディションによる外観の変化は少なく、簡単な手入れで永くきれいな状態で履き続けることができます。

「高級レザー」と「一般ツヤ革」の性質を簡単にまとめると、以下の表のようになります。


  高級レザー 一般ツヤ革
仕上げ方法(代表的なもの) アニリン仕上げ
セミアニリン仕上げ
顔料仕上げ
ウレタン塗装仕上げ
ガラス仕上げ
ラミネート革
仕上げ塗膜の厚さ 2/1000~5/1000mm 1/100mm以上
革の風合い 優れる 劣る
通気性・透湿性 優れる 劣る
クリームの浸透性 高い 低い
染色堅牢度 低い 高い
耐光性 低い 高い
耐損傷性 低い 高い
耐久性 低い 高い

一般的に仕上げによって上記のような性質と考えられますが、中には仕上げが薄くても丈夫でクリームの浸み込まない革や、厚い仕上げなのに簡単に塗膜が落ちてしまうので取り扱いに注意が必要な革もあります。
「高級レザー」と「一般ツヤ革」という分類は、革の性質の違いと手入れ方法の考え方を説明するために当サイトで便宜的に使用しているもので、一般に普及した分類ではありません。